フォアグラはおいしい。特にフォアグラ・ショ(ソテー)はたまらない。一寸焦げ目がついた外側をナイフで破ると、
脂と旨みの熱い凝集体が固体を保ちきれず微かに震えながらはみ出してくる。地球最後の日には、これに甘口の
トーカイ・ピノ・グリを合わせ、真空管アンプからモーツァルトのクラリネット 協奏曲の第二楽章を流したい。
アルザスのフォアグラは、ガチョウではなく鴨の肝臓から作る。このため、フォアグラ・ショならアルザス産という定評は
アルザスの地元贔屓というわけではなく、かなり普遍的らしい。
フォアグラはエスカルゴと並ぶ異形のアントレであるが、フォアグラ・ショ やエスカルゴ一ダースをやっつけてから、
さあポアソンだヴィアンドだと奮い立ち、締めにはフロマージュもデセールも片つけるフランス人の胃袋も凄い。
これらの対極にあるアントレは、アーティショーであろう。おいしいかどうかは人によるが、胃にも財布にも負担はごく小さい。
食べ方はアーティショー・ オウ・ナチュレル、即ち丸茹でが食べ難いが面白い。大鍋に湯を沸かし、丸ごとのアーティショーの
先とへたを切って投入する。米ぬかを入れる必要はないが、レモンは入れた方が良い。
30分ほど茹でたらへたに近い方から鱗状の萼 を指で一枚づつむしり取り、内側に付いているわずかな量の葉肉を下歯でこそげとる。
酢・油・塩にディジョンのからしを混ぜたソースが合う。回りを順々に食べていくと、
やがて食べられない花弁の部分に至るのでこれははぎ取り、雌蕊と思われる部分もこそげ落とし、
形も大きさもシャンペンの栓そっくりな 芯を取り出す。これがアーティショーの本命で独特の食感を楽しむ。
後には大 量のごみが残る。
茹でたては物凄く熱く、指先がたまらないので、家族で食べるとき子供にはお父さんの介添えが
必要そうである。アーティショーを見るとお父さんが食べさせてくれたのを思い出す、というフランス人も多いのではないかと思う。
(2013年1月13日)
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フォアグラ・ショ アスパージュ(白アスパラガス)添え
輝く初夏のメニューである。
食べかけ
ワインは、アルザスのトーカイ・ピノ・グリ
実はこれ、仕事上の昼飯である。
アーティショー (アーティチョーク)
これはスーパーで売っている 生の姿で、大きい部類。
1 個 10FFR(200 円)くらい
アーティショーを食べた後のごみの山。
植物の「蟹」で壮大なゴミが出る。
紫色はたぶん花弁の部分、カサカサで食べられない。
半分咲いたアーティショー
こうなると食べられない。
花も葉っぱもアザミだと言われれば、そう見える。
ブルターニュ地方のアーティショー畑。
草丈は 1.5mくらいで、太い茎の先端に付く。
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