花を召しませ (1971)

脳溢血で44年前卒然逝った父、

ハイカラ好きで、一度母と海外

旅行させたかった、今も心残り。

代わって私が案内したアメリカ

で母が喜んだのは、花の豊富さ。

昔の日本にも女性に花を捧げる

男はいたろうが、何せ「花より

団子」の物資欠乏国、心の余裕

どころでなかった我々飢餓世代。

ライスカレー食わすからさ、に釣られて草野球の2試合や1日がかりの引っ越し、自分の胃袋を喜ばせるためなら勇んで出かけたもの。 

それがアチラを訪れて愕然、何せ女性を喜ばすシカケが溢れてる、たとえば唄にもある<花のサンフランシスコ>、街角ごとに花の山。

知り合ったサムライ風日系二世の男の農場を訪ねて、ウーン! 粗末な住宅、昔のイナカの人を純粋培養したような素朴家族、大して

広くもない温室2棟に生えるカーネーションだけでの細々生活、だが底抜けにハッピー。 へえ、これで食って行けるんだ、この国は、、

豊かなるが故にニッチだらけ、と知った次第。 歳月が過ぎ、「団子より花」と割り切れば今は我が国も、、確かに花屋は増えたナ。■

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