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メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第054号 ’00−07−28★
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<第三象限>的:雪印乳業
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●「私は寝てないんだ!」
が束の間、流行り言葉になったようですが、そんな笑いの種を提供することになる
とはご本人、予想もしなかったことでしょう。 いささか気の毒でないこともない。
パニック状態でつい、の一言がたちまち広まって、とんでもないPRになりました。
事業の信用回復にも困難が予想されていますが、彼個人の挽回はどうやら絶望的。
*
予測せざる事態が降って湧けば、誰でも愕然とする。 が、それをパニックにまで
してはまずい。 思考機能が低下して対応を誤り、傷を大きくしてしまうからです。
それが管理職に<H>レベルを求める最大の理由。 しかしあいにく、彼の薬缶は
容量不十分、水はアッサリ溢れてしまった。 記者会見の出来も<L>並みでした。
機能低下による仮性Lでしょうが、HがいきなりLになる、とは普通考えられない。
平常状態でもせいぜい<M>レベルの人、なのではあるまいか。 ということは、
Mでも社長になれる会社、なのかね、雪印っていうのは? 不思議がっていたら、
TVが教えてくれましたよ。 「営業、技術、管理の3部門から交代で社長を出す
仕組み。 前社長は技術出身、今度は管理畑から」と。 能力無関係の当番制とは
存じませんでした。 でも今どき、そんなことで? やはり首を傾げてしまう。
「財務のエキスパート」だそうだが、要するに経理屋さん。 なら、Lでも務まる
ことがあります。 かつて会計事務所のセンセイを言いくるめ、F式クレペリンを
試してもらってビックリ、L?! 道理でカタイと思ったぜ、、 という経験あり。
大問題が起きているのに、その現場を自ら確かめても来ず、工場長から状況を聴き
取りもせずに記者会見に出て恥をかく、なんてところを見ると、まさか彼も、、?
* *
トップ人事がそれだから、あとは推して知るべし。 能力は後回し、「和」重視の
社風なのでしょう。 社長、副社長、生産部長、大阪工場長、、 一人として態度、
表情に鋭さ、キビシサを感じさせませんでした。 F先生式の人柄類型で言えば、
<第三象限>の人ばかり。 ウーム、この偏り方は気に入りませんなあ。
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●<第三象限>にも
さらに4分類あるわけですが、そのどれにも柔和、穏和、親和、、「和」の特性が
伴います。 情動性、欲動性、ともにマイナスの抑鬱性。 テンポは遅く、エネル
ギーが弱い、いわばリーダーシップの無いタイプ。 平穏な状況下では落ち着いた
仕事ぶりの「良い人」だろうが、危急存亡的事態への対応にはまず不向きな傾向。
事件発生以来のモタツキぶりは、首脳陣の<第三象限>的特性の反映、と言うべし。
Lになるとコダワリや迷いが多く、カタイあるいはトロイ人。 そのくせ激発する
ことがある。 「寝てないんだ!」とかね。 しかし、「Hレベルで女性の場合、
オットリ、シットリして良い感じなんですがねえ、、」と、故F先生。
男で、しかもHでないと、「一生懸命な割に効果が挙がらない」。 雪印ご一同の
姿が目に浮かびます。 あのタイプなら、あの場面であの結果、、 当然だな、と。
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<第三象限>の特徴はまた、保守的。 逆に言えば創造性を欠くタイプなのです。
仕事のせいでそうなった、のかも知れません。 原料はもっぱら牛の乳、製品は
昔ながら。 しかも装置産業。 創造性など、滅多に要求されないでしょう。
その中で、やや新工夫の余地があるとすれば<加工乳>。 そこに今回、問題が
生じたのは象徴的でした。 なまじの工夫、しなければ良かった、、 かな?
* *
<第三象限>でない人もいるに決まっていますが、その風土に適応してしまえば
仮性<第三象限>。 エネルギーの放散を抑えるだけで、化けるのは難しくない。
かくてトータル<第三象限>カンパニー。 そう見れば、謎が解けるかも、、
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●業界のトップ・ブランド、
創業以来赤字無しの優良企業。 その実績をもたらしたのも、同じ<第三象限>
の特性だったはず。 たとえば、<地道な実行、現実肯定、共感、順応、倹約>、、
これで悪いわけ無い、、 彼ら自身、変わる気は無い、変わらない。 しかし、
世の中が変わりました。 特に<流通>。 スーパーやコンビニ、量販ルートで
メダマにされ、水より安く売られたり。 しかもコンピュータ管理のメカニズム、
ジャスト・イン・タイムの納入が要求される。 「商品の特性で、それはダメ」、
かつてサーモスタット屋は突っ張ったものでしたが、<第三象限>はもめごとを
好みません。 むしろ<易きに就く>特性で、唯々諾々。 しかし応じれば
*
商品の供給不足は許されず、そうかと言って丁度ピッタリに生産することなんか
出来ない。 やむなく余分に作るが、余ったのや返されたのを棄てていたら利益
が出ない。 そこで、リサイクル! 倹約的アイデアの地道な実行、です。
市乳の余りは低脂肪乳へ、低脂肪乳の余りは加工乳へと、素性も問わず使い回す。
色や味、次第に濃さを加えつつ、、 それも屋外、時に部外者の手(素手!)で、
温度管理もせず、ある時は四角い容器に、「大五郎」に。 それらをつなぐのは
「仮設ホース」、、 ギョッとさせられる素朴さ、、 <易きに就く>ですな。
* *
これらがどんな頻度で、どれほど丁寧に洗浄されたか? ノウ・プロブレム!
最後には殺菌するんだから。 実際これまで永らく、こんなやり方がバレずに
続いていたこと自体、殺菌工程が有効だったことの証明ですよ。 しかし、
菌は死んでも毒素は残る。 それを何度も(かどうか)使い回せば、毒は次第に
濃さを増す、、 だろう。 が、毒素の検査は「金や手間がかかるからしない。
役所も認めた」と雪印。 またも易きに就いたわけ。 これはもう追跡不能。
独断と偏見、私は<不注意なリサイクルによる毒素累積>説に傾いております。
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●本日(7/23)までのところ、
警察の事情聴取に対し、「ほかの業務に忙しく、<1週間に一度>の規定通りに
バルブを洗うことを忘れていた」、「先月は洗浄を担当する従業員に欠員が生じ、
衛生管理体制が手薄になっていた」と答えているという。 何と安易な答え!
食品工業における<洗浄>は決して「忘れて」はならぬ基本的な作業、「欠員が
生じた」なら他から補ってでもすべきこと。 なのに目前の現実に順応、「残業、
残業で、とりあえず必要でない仕事は省いて、、 という意識がひとつ出てきた
のかなあ、、」と他人事みたいに言う生産部長。 おお、何と安易な説明!
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TVでは「洗浄記録」と解説された書式の表題、実は「製造洗浄点検計画表」。
その6月2日と23日の欄、2回マークされてはいたが、もし表題通りなら、
初めからそれしか洗わない<予定>だったことを意味するのではあるまいか?
そこへ「欠員が生じた」となれば、<予定>が実行されたかどうか、怪しいぞ。
厚生省へ提出した「洗浄殺菌の作業手順書」には「毎日洗浄」と明記している
のだから、<1週間に一度>の<規定>自体がすでに違反なんだぜ。 それを
さらに間引いてしまう神経なら、<予定>を守らないこともあるに違いない。
* *
「守らない」精神がチラつくのは不思議です。 「守る」積極性が見られない。
<コントロール>レベルすら成り立っていないようでは、、 救いがたい。
<市乳ライン>と<加工乳ライン>を結んでいた施設は<無届け>。 汚染の
発見も「洗浄作業を忘れた」のも、まさにそこでのことでした。 届け出ずに
いたのは単なる怠慢か、リサイクルを知られないための隠蔽か、どちらにせよ
積極的な精神の欠如は明らか。 仕事の性質からすれば犯罪的ですらある。
何度も立入検査していながら、あの不法大タンク群を見過ごしていた保健所の
無能も信じがたい。 まさか雪印、鼻薬を効かせていたのでは? とまで疑う。
「守らない」の最たるはHACCP。 マークを付けて売っているからには、
守らなければ詐欺だぜ。 「施設・設備の衛生管理/毎日水洗、分解洗浄」の
基本を手前勝手に崩しておいて「品質は、、良心です」。 よく言うぜ、、、
それじゃ、一方で平和憲法を掲げ、他方で、、、
あ、<雪印>は<日本人>なんだ!
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●かつてはジャパン・プロブレム、
日本という国、日本人という生き物、それが地球上に存在していること自体が
問題だ、と言われました。 あまりに優等生、しかも異質。 困った奴ら、と。
しかしオゴル平家は躓いて十年、未だ立ち上がれない。 その間、色々不都合
が判明したのに、何ら改善・進歩に向かわない。 いわば<第三象限>的自信
欠如の<日本人>。 我々自身がモンダイなのよ、のジャパン・プロブレム!
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同様、雪印乳業問題の根は、雪印が雪印であること。 ジャパン・プロブレム
とはいわばフラクタルな関係なのだ、、 と気付くでしょう。 たとえば、
・トップ人事は回り持ち。 決め手は必ずしも<能力>ではない。
失言癖があっても総理、「専門家ではない」人が社長や建設大臣。
・現実肯定、従順、善良。 理不尽な要求にも屈しやすい。
占領米軍の愚民化政策、日米通商交渉、米軍基地問題、外圧、エトセトラ。
・真面目に働くが、それが及ぼす影響にまでは気が回らない。
貿易不均衡からバッシング、、
そしてバブル、ゼロ金利、、
・法律や契約の体裁は整えるが、それらの実行は恣意的。
警察あれど市民保護なし、交通法規あれど交通違反だらけ、、
・一見、一体的結束感。 しかし相互の意志疎通はお粗末。
世界に轟いた優秀?官僚群も、主たる関心は縄張り争い、、
我が国の政治、経済、外交、、 どの分野にも近視眼的ジコチュウ現象。
さよう、グローバル・スタンダードで見れば、日本人は<第三象限>人種。
他民族を圧倒するほどの心的エネルギーの強さなんて、無いでしょ?
* *
「雪印乳業大阪工場、バルブの洗浄不良」と聞いた時、女房に言いました。
バルブだけ、なんてことないと思うよ。 そこら中汚れているはずさ。
大阪工場だけ、ってことはないよ。 ほかの工場も同じようなことさ。
雪印がそうなら、ほかの会社だって、きっと、、
事実、HACCPの実施状況も、その後厚生省が行なった立入検査の結果、
49%もの施設で「一般的な衛生管理事項」違反、即ち記録やマニュアル
が無く、衛生状態が確認できない始末。 ほらね? これが日本、さ。
立派な看板をかけた職場で、「良い人」たちが、素直に<良くない>こと
に励んでいる、、 なんて図は、ほとんどブラック・ユーモアですな。
<良くない>と分からないのか、分かっても言い出せないのか、言っても
聞いて貰えないのか、いずれにせよ褒められない話。 しかも罪悪感無し、
即ち皆さん、十分その状況に適応していらっしゃる、ということですな?
故F先生の言、「過剰適応というのは、人間としては荒廃なんですよ」を
思い起こさずにいられない。 この国は、雪印は、荒廃しているんだ!
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●問題解決こそライフ・ワーク、
の「おたすけマン」が<雪印問題>を素通りさせるわけには行きません。
が、人間的に荒廃した相手では、さすがの
Rational Process も無力に思われます。 言うのも残念だが、お役に立ちかねる。 たとえば、
こう色々からまって慢性化していては、どんな推定原因を挙げても、
<いる><いない>のチェックでアウトになり、「原因分析」不能。
なら「決定分析」。 「X施設、管理向上策の選定」とか? ムダです。
たとえ「こうしよう」と決めても、また、それがいかに良い案であっても、
誰がそれを守るでしょうかね? HACCPを無視する連中なんだぜ。
ともかく、ある案を実行するとして、それを成功させるためには、、 の
シミュレーション、「潜在的問題分析」。 多分<上>が障害になって、
トラブルは予防できないという結論になる。 しかし、トラブルが起きて
しまったら致命的。 だから予防すべき、、 うわ、キャッチ22だ!
*
希望を託すなら、「状況分析」。 まずハインリッヒの法則の「300」を
関係者一同で描き出し、何をすべきか、しなくてはならないか、絞り込んで
一覧表にします。 そのくらいならすぐ出来るし、妨げは無いでしょう。
<地道に努力>して<結果が良くなかった>のは、<したこと自体が正しく
なかった>からです。 即ち、掲げたテーマの不適、ステートメントの誤り。
だから、すべきことをステートメントの形にして吟味すること。 そして
それぞれの部署が当面の課題を具体的に掲げ、相互間の整合を図りつつ、、
とでもすれば出直せるかも知れません。 が、それにおいても<上>の認識
や協力が必要。 どうせ自力で把握したり方針を立てたりしない、または
出来ない<上>でしょうから、一覧表を突き付けてやるくらいにしなきゃ、、
その上で、PAか、DAか、PPAか、さらに細密なSAか、と振り分けて
行けば
Rational Process に載るものも出てくるでしょう。 が、基本的に<すべきことをしていない>のがほとんどでしょうから、分析は脇に置いて
まず実行に励んでもらわなくちゃ。 つまり議論以前の水準ですね、雪印は。
* *
働き手は従う立場、だから<第三象限>的姿勢でも責められない。 ただし、
「何のために何をするのか」を明確に認識させないと、ズルズル崩れて行く
恐れはあります。 「、、、は私たちの良心です」なんてお念仏ではダメ。
ステートメントの形にすれば、ただ明確になるだけでなく、実行の手順など
が共通に認識できて好都合。 迷いを抱きやすいのが<第三象限>ですが、
ステートメントは僅か1行の簡明な記述。 それなら迷わずに済むでしょう。
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このメルマガの当初から、問題を起こすのは人間、<上>が<上>の機能を
果たさなくては、という論調で来たことはお分かり頂けているでしょう。
今回の雪印乳業事件にはそれらが集約されている、と思われませんか?
Rational Process は心のエネルギーを有効活用するための技法です。 と
いうことは即ち、そのエネルギーの乏しい<第三象限>傾向の人々には助け
になりにくいということ。 それを痛感させられた事件、ではありました。
■竹島元一■
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